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よくある恋愛モノ
第6章 終幕
「おはようございます!」
朝の挨拶運動は、風紀委員にとって大変な仕事だ
特に、病み上がりの体には−−−
「美和さん」
「あ、森継さん、おはよう」
「もう大丈夫なの?」
「うん、ありがとう」
2日ぶりに姿を見せた美和は、少しやつれているようだった
「あの…凪さん……」
「なんだ」
そしてこの男も、この2日間ずっと不機嫌だ
「い、いや……」
ドンッ
寅次郎は突然止まった凪に思い切り衝突してしまった
「……」
凪は一瞬動揺する素振りを見せたが、すぐにまた歩きだす
「…おはよう……ございます……」
美和はボソッと呟いた
風紀委員として、たとえ嫌な相手でも挨拶はしなければならない
そんな美和には目もくれず、凪は階段を上がっていく
「凪さん……」
「ねー寅ちゃん、凪くんと美和さん、何かあったのかなぁ?」
星来が寅の横で呟いた
「あともう一押しくらいかなー」
「え……ま、まだやるんすか? ていうか、凪さんますます機嫌悪くなってる気がするんすけど……」
「心配しなくても大丈夫。これで終わりだから」
そう言って星来は寅に耳打ちした
「え、いや、それは……」
“さすがのバカでもやばいかな……”
「だーかーらっ、それで傷ついた和泉くんを寅ちゃんがなぐさめてあげるんだよ!」
「た、たしかに……それなら凪さんのためになりますよね!」
“……やっぱコイツ馬鹿だ”
「星来さん?」
「え? ああ、じゃ、準備よろしくね、寅ちゃん」
“和泉くんがあんたなんかに左右されるわけないじゃない。和泉くんは私の物よ”

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