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第64章 夜明けの空は切ない色

｢高校の時に家を出て、ここに住んでいた……｣

　目の前には綾波のつむじがあり、ほなみは思わず頭を撫でてしまう。

｢西君のお母様って、どんな人なんですか？｣
｢――｣
｢……ごめんなさい、また余計な事を｣

　綾波はクスリと笑って、ほなみの胸から顔を離し、上目遣いで見つめた。

｢そうだな……料理が上手で……だけどしょっちゅう指を切って泣いてたな……
　危なっかしくて……何もない所で転んだり……
　よく泣いたり……かと思えば結構気が短くて俺も祐樹も尻を叩かれた｣
｢……｣
｢お前、ちょっと似てるな｣

　そう言われ、何故かほなみは胸に刺されるような痛みを覚えた。

｢そ、そうですか？｣