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第56章 　あの夜の君を抱いて

｢智也……はなさ……ないでっ……！｣

　ほなみが放った叫びが合図の様に、智也は一気に溢れる水面に沈み込み、堪らない快感に声をあげる。

｢――くっ！｣
｢ともや……っ｣

　一瞬動きを止めた智也に焦れた様に、ほなみは腰を動かした。
　蕾の中でますます幹がたぎり、智也は細腰を掴み律動を始める。

｢好きだ……好きだ……｣
｢――智也っ！｣

　優しくすると言っておきながら、甘い身体の誘惑がそうさせてくれなかった。
　他の男に抱かれる姿を思い浮かべ、自分もほなみも壊れる程に腰を打ち付ける。
　その度にぎゅっと花園に幹は囚われて、欲望が少しずつ口から垂れる。

｢もう……何処にも行くな……！｣

　脚をぐいと左右に広げて、更に奥まで突き刺し続け、ほなみも智也も達しようとしていた。