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忘れられない指
第10章 選んだのは・・
              *

慎介さんと、孝明、史彦を前にして
私は照れくささに体を丸めた。

1週間たった土曜の夜、BARシークレットのカウンターに並んだ私と凌空を
取り囲むようにして3人が見つめる。
あなたが話して、と肘でつついて合図すると

「このたび・・え~・・ボクと咲子さんはお付き合いすることになりました」

うわずった声で凌空が報告をした。
3人とも、いやたぶん2人が驚きの声をあげ
1人は静かな声をあげた。

「なに?凌空、とうとう言ったの?で無事にカップル成立かぁ!やったな!」

「そうかそうか・・咲子ちゃん、凌空くんと・・そうか、そうか・・・」

感激気味の史彦とマスター。
それに比べて孝明は静かに喜んでくれた。

「よかったな、凌空、咲ちゃん。
 2人とも幸せになってくれよ」

しみじみとした言い方に、凌空はいつものように声を響かせ

「おおげさだなぁ!まるで結婚するみたいじゃないかぁ!
 まだお付き合いが始まったばかりなんだぞ。
 そんなにしみじみ言われるとなんか緊張しちゃうじゃないか」

と、孝明の背中を叩いた。
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