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第5章 生け贄の７月

「それは校内だけの話だよ、保護者に知られるのは困るんだ」

「バレて騒ぎになっても結婚すればオッケーでしょ？」

「ちょっ、なに言って…」

慌ててキョロキョロする菅野と、一部始終を見守っていた麗華の視線がぶつかる。

「あ…おはようございます、高嶺先生」

「え？」

菅野の挨拶で麗華に気づいた女子生徒は、
「高嶺先生、おはよーございますッ」
見せつけるように彼の腕に絡みつく。

「…おはよう」

「ちょっと相田さん、離れてくれないかな」
「も〜、美里って呼んでよ」
引き剥がそうとする菅野に、ますますしがみつく女子生徒…麗華は見ていられず黙って隣の車両に移動した。