この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第3章 永久( トワ )の別れ唄

部屋にはほとんど家具は無く、暫く使われた形跡のない釜戸には蜘蛛の糸がかかっている。
“ ここで彼は生活しているの?──‥あッ ”
寝台には薄い敷布が一枚あるだけ。
その敷布には所々に黒い煤( スス )のようなものがこびりついていた。
敷布に斑紋──アザがあるなど可笑しな話。
奥に進んだ水鈴が敷布に触れると
「──…っ」
その触れた指先を伝って
何かが流れ込んできた。
“ 悲しみと…痛みが…叫んでいる。
とても苦しい、この…感情は……!? ”
敷布にこびり付いていたのは血痕だ
「──…ハァっ…ァっ、‥」
動悸が……!!
──その時、彼女は背後に人の気配を感じた。

