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§ 龍王の巫女姫 §
第12章 紅い灯籠に花を広げ…

あの宿館での一夜以来、水鈴はどことなく気不味かった。
あの時の炎嗣は彼女を抱き締める以上のことはしなかったし、だから彼女も素直にその腕に包まれて同じ褥( シトネ )で眠ったのだが…
感情を全てさらけ出したぶん、後日に追ってくる気恥ずかしさも並大抵ではなかった。
「……っ」
何より、どう接するべきかわからない。
ずりずりと座る位置をずらして、炎嗣から遠ざかろうとした。
「…王を避けるとは、ずいぶんな対応だ」
逃げる水鈴を見て炎嗣はくつくつと笑う。
近づくとまた彼女は逃げるので、二人は少しずつ右側にずれていく。
「……ぁ」
少しして水鈴は自身の失敗に気がつく。
「もう…逃げられないな…」
「……!」
尻が柱に当たり、自分が四阿の角に追いつめられた事を自覚した。

