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§ 龍王の巫女姫 §
第7章 蕩ける果実

「わたしはひとりだけ生き残ったのだわ」
自分の立場を思いだし
残酷な現実に唇を噛み締める。
何か少し切なくて…優しい夢の中にいたような気がしたのに。
どんな夢か思い出せないけれど、そこには明るい笑顔の村の人と、花仙の温かな声があったのに。
現実のわたしはひとりぼっち
何一つわからぬまま穢された身体では、神に遣えることもできなくなってしまった。
“ 朝の祈り… ”
どうすればいいのですか。
裸の自分、隣には男が眠り…
村から離れたこの王宮で…
何を祈ればいいのですか。
祈る資格さえ、今のわたしには無いのですか。
『どのような時でもお前には神がついているのだ。だから不安に溺れることなく日々務めなさい』
村長の言葉は、孤独な御堂での暮らしでわたしを支えてくれていた。でも今は──
“ 何もない ”
拠り所が何もない。

