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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの
「俺を捨てたあんたに、人の女とやかく言われたくねぇんだよ!あんたなんかより、いい女や!」
「もう、大声出さんといてや。頭に響くやろ?」
「もう限界なんや。これ以上俺を苦しめんといてや」
怒りに任せて怒鳴り、最後の方は涙声になった。
「頼むから…これ以上。失望させんでや」
「ごめん、達巳。泣かんといて…」
顔を下に向ける俺に、女は抱き締める。
酒と香水の臭いに混じって、僅かに香る母親の匂い。
「母さんが悪かった…だから、泣き止んでや」
情けない…。
ここまでされても、まだ。
俺は突き放せない。
捨ててやると決意して、言葉にして口に出したのに。
何で謝るん?
最低な母親なら、最後まで貫いてや。
汚い言葉並べて、俺に嫌われて。
何処かに消えてしまえよ。
何でいつも、最後は謝って抱き締めるん?
子供の時もそう。首を締めた後に必ず泣いて謝って抱き締めてきたよな。
それされたら、俺。
何で許してしまうんやろ。
もう、離れたいのに逃れたいのに。
たった一人の家族やから。
それだけが、心にいつもある。
何もしてくれなかった父親より、最低でも母親が育ててくれたから。
もう……俺を解放して……母さん。

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