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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの
校門をくぐって運動場を横目に玄関に入る。
夏休みなのにサッカー部と野球部は汗を流しながらボールを追いかけていて。
ああ、青春って感じがする。
あたしたちは部活に入っていないから一生経験出来ない。
羨ましいとは思わないけど、何かに打ち込めるのはいいなって思う。
教室に着くと既に赤点仲間が騒いでいて一瞬夏休みであることを忘れそうになる。
違和感なのは、同じクラスじゃない人がいることと、人数の少なさだけ。
「よ!赤点王子!」
クラスの男子が達巳を見るとそう呼んだ。
「うるせーよ!お前だって赤点だらけだろ」
あたしから自然に離れて輪に入る達巳。
こういうところも憧れていたっけ。
友達付き合いが下手で、仲の良い友達は摩耶だけのあたしとは違う。
達巳にはたくさんの友達が居て、皆達巳が好き。
羨ましい。
あたしには無理なことを達巳は軽々とやる。
才能だなって思った。
この一年半、達巳のことを嫌いだと言う人を見たことがない。
それはそれで何だか変な感じだけど、それだけ達巳は魅力的なんだろう。
適当な椅子に腰掛けて、頬杖をついて達巳を見る。
今日も達巳は輝いている。
それは、窓から差す陽の光りとはまた違った光。
あたしの目にはそう見えるんだ。

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