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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心
食べ終わって、洗い物をしていたら達巳が後ろから抱き締めてきて、危うくお茶碗を落としそうになる。
お腹に回された手から伝わる体温。暴れる心臓。
何この状態………。
「ごめん、少しだけこのままにさせて」
「…ん」
短く返事をして、また洗い物をする。
達巳があたしの肩に顔を置くから、息づかいを感じて妙に意識してしまう。
きっと、夕方あんな話をしたから。
寂しくなったんだろうなってボンヤリ思った。
一人で住むには広すぎるこの家で、何度寂しい夜を過ごしたのだろう。
あたしは、達巳の傍にずっと居たのに何も知らなかった。
それが、少しだけ悔しかった。
洗い物を終えて、蛇口を閉める。
けれど、達巳は動く気配が無い。
あの…終わったよ?
そう振り向こうとしたら、正面から抱き締め直された。
背中に当たるシンク。
前には大きな背の達巳。
身動き出来ないまま居ると、達巳はゆっくり離れてあたしにキスをした。
その動きがあたしには、スローモーションのように後から脳内で再生される。
今、あたしは初めて達巳とキスをしている。
驚きはあった。
けれど、嫌ではなかった。
ファーストキスは、もっと最悪だったから。
達巳のキスは誰よりも優しかった。

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