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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち
「ねぇ…達巳。将来の夢とかある?」
「何?急に」
「あたしはとりあえず今の家出て働きたい。どこでもいいから自分で稼いで、自由に暮らしたいの」
「そっか…俺はなんやろなー。今働いてるけど、正直金貯まらんし。俺も絶対家出る」
達巳が言った、「働いてる」というキーワードに引っ掛かった。
あたし、達巳が働いてるの知らなかった。
「達巳、働いてるんや。何かいいな。あたし、バイト絶対ダメって言われた。羨ましいな」
「楓んちは厳しいんやっけ?」
「まぁね。母親がうるさくて。父親はほとんど家に帰ってこんけどねー」
どっかで、女作ってるんだろうなってぼんやり思っている。
これは、ただの女の勘だけど。
「どうせ、いつかは働かなきゃならんのやから。楓はまだ働かんでいいよ」
「それもそうやね。あぁ、玉の輿とかに乗れば一生働かなくて済むのになぁ」
「楓が玉の輿?ウケるわ」
「何でよー?」
「絶対、我が儘言うて男に逃げられそうや」
「それもそうやね。あたし気分屋やし」
それからは、お互い黙って空を眺めた。
何であたし、将来の夢とか聞いたんやろ。
ただ達巳の声が聴きたくて、話題振ったのかもしれん。
達巳は多くのことを語らないから。
あたしが聞かないと、何も言うてくれん。
ちょっとだけ、寂しいと感じた。

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