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泡のように
第27章 26.
 その人は恥ずかしそうに「バレたかっ」と呟いて大きな手で顔を隠すと、おずおずと目だけを出して私を見上げた。
 年のせいかも知れないが、お兄ちゃんよりはユーモアのセンスがあるらしい。
 秋芳先生と同じレベルで日に焼けた肌を晒しながらその人は、

「えと・・・中学生?」

 と、私に尋ねた。
 中学生に見えたのは髪型のせいだろうか?と複雑な心境を抱きつつ、いいえ、と答えると、その人は黄緑色のパッケージの煙草を半袖シャツの胸ポケットから取り出そうとして、しかしすぐに思い直したように、元の位置に戻してしまった。

「じゃあ高校生か・・・そうだよねぇ。ちっさかった篤志があんな立派なおっさんになったんだから、妹が高校生になってたって、おかしくないかぁ」

 その人は偶然なのか、お兄ちゃんの癖と同じように、頭の後ろで両手を組んで天井を見上げた。

「今日は、なに?学校の帰り?」

 そして、目を合わせずに私に再び尋ねる。

「はい」
「寄り道して大丈夫?お母さん心配してない?うちからだったら、1時間以上かかるだろう?あの団地まで」
「え?まぁ、そうですね」
「そうですねって、夜道とか危なくない?こんなに遅い時間まで大丈夫?」

 心配されていると気付いたのは、レイナが私から身体を離し、その人の隣に寄り添うように腰掛けたときだった。

「もーやだやだ!この人、ほんっと心配性で困っちゃうのよ。夜7時過ぎたら深夜だって思ってるんだから。ちょっと飲みに出て終電間際になったりしたら、怒って家に入れてくれないのよ?ひどいでしょ」

 ひどいでしょって言っても、レイナはその人の心配性が嬉しくてたまらない様子だった。
 
「だって通り魔とか多いだろ?それより君んち、駅から遠いみたいだし。うちに寄り道したことで、帰りに被害に遭わないか、考えただけで心配で・・・」

 会ったそばから帰り道中の心配をするって、どうなのか。
 ある意味有難いとは言え、私は反応に困ってしまった。


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