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第23章 対峙する心

―――真くんは…。
真くんは、そんなこと言わなかった。


さっき、私に身代わりだと叫びはしたけれど。
片桐さんの彼女だった人の名前――亜子さんの名は教えてはくれなかった。

車に乗り込む直前に耳にしたその叫び。
そんなこと聞ける時間なんて無かったのは片桐さんだって知ってるはずでしょう？


「違います。聞いたのは真くんからじゃないです。」


もしかして。
片桐さんと付き合ってる間、真くんとこっそり会ってたとか、疑われてたのかな？


確かに――。
卓さんと会ったあの日は真くんと二人だけで会ったりした。
そして、思いがけず抱き合ったりして。
その温もりに、自分の気持ちが暴走して止められなくなって――そして、一人で…自慰――とか。


あぁ、もうっ！ヤダ！
思い出せば赤面もので、確かに疑われても仕方ないんだけれど。