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アンバランスなsweet
第21章 覚悟

俺が、紫乃を幸せにする。
『したい』
思いがけず力強い声が出た。
その為には紫乃と片桐さんとの仲をちゃんと見極めなけりゃならない。
地獄のようなその時間。
もし俺のでる幕が無いようなら、その時は紫乃にキッパリ振って貰って諦めよう。
……諦められるのか?
――――でも。そうするしか無いだろう?
***
里奈ちゃんのそのWデートの誘いから数日後。
片桐さんの昔の彼女のことを知ったのは熊さんの口からだった。
あのスキーの日から、紫乃と片桐さんとが付き合い始めたことを知り、熊さんは凄く喜んでいたんだ。
『やっと、片桐は亜子ちゃんを過去に出来た』
そう言って、自分のことみたいに笑っていた熊さん。
―――“亜子ちゃん”って、片桐さんの昔の彼女か?
紫乃と片桐さんが付き合い始めたばかりの頃の熊さんの言葉。
片桐さんの昔の彼女の事などその時はそんなに気にならなかった。
―――片桐は一途だから。
そう人に言われるぐらい、片桐さんが昔の彼女が忘れられずにいる話は有名で。
片桐さんのその過去を知ることは無かったけれどその一途だと言う噂は耳にして知っていた俺だった。

