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ピンクの扉
第11章 東京
ドアを開けると玄関には見慣れたブーツと
大きなナイキのスニーカーが脱ぎ捨ててあった。
『ブーツは娘の由佳のものだな…
はて?このスニーカーは?』
もしかしたらボーイフレンドが訪ねて来ているのだろう。
しかし、期待していた桃子の靴が見当たらない。
「まだ帰ってきてないようだ…」
声に力がなく落胆しているのがバレバレだった。
「レンタカーでかなりの速度で帰ってきたから
私たちの方が早く着いてしまったんじゃありませんか?
少し待ってみてはどうでしょうか?」
亜里砂の言葉に、
それもそうだなと思い
彼女をリビングに招き入れた。
「何か飲むかい?」
智一とすればアルコールを流し込み
落ち着きたいところだったが、
帰りにレンタカーを運転しなければいけないので
コーヒーを飲むことにした。
「私が煎れてさしあげますわ」
「いや、君はそこに座って寛いでいてくれ」
智一こそ少しゆっくりして下さい。
などとお互いに気づかっていると
二階の部屋から艶めかしい声がした。
『あっ!逝く!逝っちゃう!!』
智一と亜里砂は思わず顔を見合わせた。

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