この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第5章 攻防ゲーム
葵とキスをしたのは、小学生の時。
忘れてたけど、私のファーストキス。
でも、初恋では無かった。
お互い単なる興味本位だったから。
学生時代の葵の女なんて、数える気すら起きない。
自称彼女と言い張る女を含めれば、相当な人数だったと思う。
そんなイケメンの幼なじみは、私にとっては貴重な存在で
在学中、葵の友達を何度も紹介してもらっていた。
……でも、結局誰ともうまくいかない私。
キレ気味でキューピット役を辞退されて、今に至る。
常に運命的な出逢いを求めて
刺激的な毎日を夢見て
現実から常に目を背けていた。
そんな私が
マンションの共同エントランスで
ずっと友達だった幼なじみに
好きだと一言、定番な告白をされたのだ。
トキメキもへったくれもない。
恋愛対象外だと突き放して
別の人と出逢いたいと告げた男になんて……
……なのに
「……おい、いいかげん立てよ」
エレベーターを降りると、片手で私を支える葵が溜息を漏らした。
分かってる。
私も、いいかげんそうしたいんだけど
……腰が砕けてるんです。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


