この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第14章 涙の先に
……今までも、何度も繰り返し感じているけど
結局俺はこいつに助けられてばかりだな。
テーブルから離れる蓮に続いて、立ち上がる。
「……蓮、サン…」
「瀬名、さっきの話だけど」
……おい、かぶせんじゃねぇよ。
せっかく感謝の言葉を言い掛けたというのに
そんなレアな俺に気付かず、蓮はエレベーターに向かって歩き始めた。
小さく舌打ちをして、仕方なく付いていく。
「俺は一緒だと思うよ」
「は?」
「お前と、彼女の想い」
「………!」
その言葉で、思わず足を止めると
螺旋階段の手前で、蓮がゆっくりと振り返った。
「心も体も救ってくれた、お前にとって何よりも大切な人。
……きっと、彼女も
瀬名と同じように、瀬名のことを強く想ってる」
「………っ」
「会社のエントランスで、2人の後ろ姿を見送った時
素直にそう感じたんだ」
……その顔に、優しさが宿る。
「お前、すっげーいい男だから。
間違いないよ」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


