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唇に媚薬
第13章 同じキモチ
……痛いほどに、胸が締め付けられる。
もう、ずるいよ。
ずるいずるい。
普段、そんな甘い言葉なんて絶対言わないのに……
このキュンとした気持ち、どうしてくれるの?
熱い想いがこみ上げてきて、ほんとに泣けてきちゃう。
「……葵……」
……背筋を伸ばして、大きく息を吸い込んだ。
素直になって
シンプルにこの想いを伝えたい。
「……仕事、無理しないで
体調に気を付けてね」
『………!』
「帰ってくるの、楽しみに待ってるから」
それまで、私も頑張るよ。
……もう迷ったりしない。
私の心は、葵への愛で溢れてるんだ。
「……す、き」
『………』
「葵、大好きだよ」
心臓が、壊れたみたいにバクバクで
手は震えちゃってるけど、噛まずにちゃんと言えた。
……なのに
『……気を付けて帰れよ』
「………!!」
『心配だから、着いたらメールしろ』

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