この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第13章 同じキモチ
「電話するのはいいけど、気を付けろよ」
高架下を抜けた、駅へと続く横断歩道の手前で
携帯を取り出す私の斜め上から、姫宮さんの声が降ってきた。
「…? 気を付ける……?」
「自分が弱ってる時は
相手にとっちゃ何でもねぇ事を、ネガティブに捉える習性があるから」
「………!」
「人間ってのは勝手だからな」
……どういう意味??
その言葉の意味を探ろうとして、姫宮さんの顔を見上げる。
「例えば、彼氏がお前の思い通りにならない事が起きたとして」
大通りを行き交う車に目を向けたまま、姫宮さんは淡々と続けた。
「自分に余裕があって機嫌のいい時は許せるけど
落ち込んで気分が沈んでる時は、やけにイラつく」
「………!」
「そーいうのあるだろ?」
「あ、あります。 分かります」
「けど、今夜アシスタントとの間に起きた事も
お前の今の心境も、彼氏は知らねぇんだから」
「………!!」
「変に捉えて勘違いして、勝手に自滅したりするなよな」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


