この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
衝動[完]
第2章 保険室
祐先生。
祐先生。
心の中で何度もくり返す。
「お前は?」
「え?」
弥生は一瞬何を聞かれたのかわからなかった。
「お前の名前。」
そう言って自分を見つめる祐を見て、弥生は夕陽よりも赤くなりながら答えた。
「弥生!佐藤弥生!」
祐はくすくすと笑った。
「さぁ、授業中でしょ?戻りなさい?」
弥生は頷いて椅子から立ち上がり、ドアに向かってぎくしゃくと歩き出した。
「あー、弥生。」
弥生は心臓が跳ね上がる程驚いた。
名前……呼ばれた……。
慌てて振り向き、出来る限り普通を装う。
「な、なに?」
「あの時の女の子、どうした?」
「え?さ…里美?」
「もう学校来てる?」
「うん……。」
「そう、良かったね。」
にっこりと微笑む祐を弥生は眩しそうに見つめた。
覚えててくれた。
私のこと、覚えててくれた―――。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


