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HOTEL・LOVE
第18章 突然告げられた別れ
最後の一部屋の清掃が済み、
これで香澄の勤務は無事に終わりを迎えた。
2年間を過ごしたこのホテルともお別れ。
客の喘ぎ声が漏れてきた部屋、
その声に立ち止った廊下、
身をひそめるようにして客をやり過ごしたリネン室。
そのどれもが愛おしく思えた。
晴樹と並んで階段を降りながら、
どの階にもさよなら、と心の中で声をかけた。
着替え終えてから、あらためてマネージャーはじめ
職場の仲間たちに最後の挨拶をした。
今日はタキさんも来ている。
みんなが祝福の言葉とともに、
また戻ってきなよ、と声をかけて送り出してくれた。
挨拶が終わるタイミングを見計らって、
晴樹が更衣室から出てきた。
上手い事偶然を装うことにすっかり慣れたのに、
これが最後なのかと背中を丸めた。
そろって通用口を出る。
入ろうとしている客とすれ違った。
香澄はわざと、
晴樹を笑顔で見上げてから男と女に視線を送る。
最後の最後に、ちょっとしたイタズラ心がうずいた。
男も女もニヤッと笑った。

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