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Blindfold
第3章 お店
「それくらい威勢がよくねぇと、こっちも調子が狂う」
「うるさい」
「おおおお、戻ってきた戻ってきた」
ハハハと笑った店長は、そのままお店の表に戻っていく。
おかしな人だ。
私のことを完全に子ども扱いして、そして楽しんでる。
「ばか」
そう聞こえないように呟いて、私は再び髪を整える。
まあ、でも
少しだけ気が晴れたのも事実だ。
バイトしに来て良かった。
「桜ちゃん、また達也にいじめられてんの?」
表に出ると、カウンターから声を掛けられた。
「いじめってなんだよ、人聞きわりぃなぁ」
店長がそう言葉を返す。
「桜ちゃんがかわいいから、ちょっかい出してるんじゃないかなって思って」
「幸(さち)さん…」
カウンターでグラス片手に彼女は私に微笑む。
腰くらいまでありそうな髪は、サイドに束ねている。
年齢は多分40代後半くらいだろうか。
妖艶な雰囲気な彼女から年齢を推測することは難しい。
確か近くにある「radice(ラディーチェ)」というクラブのオーナーだと聞いた気がする。
忙しいから、月に1回、多くても2回ほどしか来店しないお客さんだ。

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