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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章 3歳児の憂鬱
だから、佳奈はその感謝の気持ちを行動で示した。
旦那がシたい時には どれだけ身体が辛くとも、2つ返事で応じ。
朝の早い旦那よりも更に早起きし、完璧に身支度を整え送り出し。
立ち仕事・接客業・特殊な職種――という旦那をおもんぱかり、すべて先を読み心を砕き、
自分もフルタイムで働きながらも、これでもかと尽くしまくった。
その結果。
結婚して3ヶ月後――旦那は無職になった。
原因は、リストランテのオーナーとの些細なイザコザ。
たったそれだけで、10代の頃から世話になった恩人を裏切り、プー太郎になった旦那。
けれど、佳奈は励まし続けた。
「家計は私の稼ぎで何とかなる」
「貴方の腕は確かなもの。夢だった自分の店を持てるよう、私が全面的にバックップするわ!」
貯金くらいしか趣味の無かった佳奈が、地味にコツコツと貯め続けた1000万円。
それらを店舗の頭金や準備の為の支出に充てて貰おうと、通帳と印鑑ごと旦那に渡し。
その結果、
暇と金を持て余した男は、見事に転落していった。
たぶん前世の自分は かなりの下げマンで、駄目ンズ製造マシーンだったのだと思う。
以前は やりもしなかったギャンブルで「この金を倍にするぞ!」と、糞マンガさながらな事をほざいた挙句、
有り金の大半をスリ、ベタに酒に逃避。
次にハマったキャバクラ通いにも飽き足らず、浮気相手を佳奈の留守中に連れ込む事 数度。
従順で優しかった年下旦那のあまりの豹変ぶりに、自分の犯した過ちを自覚するも時 既に遅し。

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