この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第22章 躊躇いの理由
俺は、横に座る彼女を抱き寄せた。
「こうやって」
その甘く香る髪に、埋めた顔。
……本当に、離したくなくなる。
「だから、考えてよ……あおいさん」
さらに、腕に力を込めた。
「いつも一緒にいたら、あんな考えしなくて済むようになるかもしれないし」
そして、ふと思い出したそのことを口にする。
「……あんな考え?」
「ん――……。
……俺との関係の終わりとか?」
――瞬間、彼女が俺から身体を離した。
「え……?」
俺の顔を、まじまじと見て。
「……なんで……私、そんなこと言ってない……」
「あ――――……うん」
「言ってないよ……」
ゆらゆらと、揺れる瞳の中の俺。
「……言ってはないけど、思ってたでしょ?」
ゆっくりと、首を振る彼女。
「思ってない……だって信じてるもん」
まるで自分に言い聞かせるような、口調だった。
「あおいさん」
「信じてるよ、ちゃんと翔悟くんのこと……っ」
揺れる瞳から、滲んでくるもの。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


