この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第10章 上書きされていく
やがて、はあー……と、呆れたように。
「……私に対するいいな、と。その人に対するいいな、って根本的に違わない?」
まるで小さい子に言い聞かせるようなその口調。
「それとも、村上くんは恋愛初心者でしたっけ?」
「……なんだよ、その遠回しな言い方」
ぼそっと呟くと、坂本はまた溜め息をつきながら、ああもう! と言葉をこぼして。
「ねえ、村上はその人のことどう思ってんの?」
「は? だから、いいなって――――」
「気になってるんでしょ?」
「……まあ、そうだけど」
「私が恋愛相手に思えないのは自分で分かってるんでしょ?」
「ん」
「だったらその人は恋愛相手として考えられるの?」
あらためて、聞かれて。
確かに――――その感情は坂本に対するものとは違う、と感じる。
「……ん」
「だったらそれが答えでしょ?
村上はその人のこと、恋愛対象として意識してんの!」
言い切られて。
でも――――、と。
湧き上がってくる、疑問。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


