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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜
 さつきはやや声を潜めた。
「数日前、薬師がおいでになる前までは私も姫さまが何ぞ病に取りつかれておいでかと思いましたが、姫さまのお身体には何の障りもないとお聞きした折、恐らくは恋の病なのではと拝察仕ったのです」
 なおも無言の楓にさつきはにじり寄った。
「教えて下さいませんか、姫さま。姫さまのお心には誰ぞ別の殿御がおいでなのでございますね?」
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