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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 今は我が身の心配よりは、そちらが大切だ。楓は両脇に垂らした握り拳に力をこめた。
「それに鈴音という女が申していたことも気掛かりです」
「何も訊かないでくれ」
 苦渋に満ちた表情で時繁が言った。
 楓はかぶりを振る。
「そのようなわけには参りません。我が家は父祖の代から源氏にお仕えし、御所さまや御台さまには少なからぬご恩を賜っているのです」
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