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やさしいキスをして?
第10章 番外編

『そっそれは…っ!』
…違う。彼女が今日ここへ来たのは、僕の為じゃない。
『なんだよ、返す言葉なんかないだろ?』
『………っ』
岩本。お前を応援する為に、彼女は来てくれたんだ。この間のLiNE…園山さんが観戦を承諾したのは、お前の出場を伝えた直後だった。やっぱり彼女はお前のことが…!だったらせめて、少しでもお前との時間を過ごして欲しいじゃないか…!
『ったく…何を怖気づいてんのか知らねーけど、あんな良い子を待たせるなんて罪だぞ。恥ずかしがってないで、とっとと送ってきやがれ!』
『待て!岩本っ…!』
『悪いけど、おれにも予定があんだよ。せっかくの休日、あさひの顔見ないわけにいかねーだろ?そんじゃーまた学校でなっ!』
僕の背中を叩いた岩本は手をあげて行ってしまった。僕は…園山さんの思いを利用しただけだ。こんな僕に、彼女と顔を合わす資格はないというのに…

