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やさしいキスをして?
第10章 番外編

『え?これ私のじゃない…』
『それはあさひが作ったノート!マドちゃんが休んでた間の分、全部だよ!今朝、あさひから預かって来たんだ。』
めくってみると、あの早退した日の授業から昨日の終わりまで、日付順にノートが記してあった。1ページ1ページ丁寧にまとめられていて、先生が喋っただけのような細かなコメントも書き込んである。
『………』
『あさひもさ〜大雑把な性格だから、普段はノートそんなにキレイじゃないんだ。だけどマドちゃんが休んでる間は他の子にノート借りたりして、休み時間もずっと勉強しててさ。放課後もすぐ帰るし、マドちゃんのお見舞い誘っても来ないし…どうしたんだって言っても全然教えてくんなくて。』
これを私のために、わざわざ…?
『今朝やっと分かったよ、あさひが熱心だった理由。毎日家に帰って、そのノートを作ってたんだなって。不器用な字だけどさ…あさひ、すげー頑張ったんだよ。』
こんなこと…どうして?
どうして私にここまでしてくれるの…?
岩本くんの言葉に何も返せないまま…私はノートを机にしまった。

