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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第17章 第四話【花笑み】 《其の参》
ややあって、矢代が呟く声が聞こえた。
「それにしても、変わった御台さまですこと。ご無礼を承知で申し上げますが、何ともお人好しというか、逞しいというか。仮にも御台所という至高の存在であるお方が奉公人のために奉公人に頭を下げるなど、聞いたことがございませぬ」
科白そのものは、さりげなくどころか、かなり失礼だけれど、その口調はけして美空を蔑んでいるようではなかった。いや、むしろ、好意的とさえいえただろう。