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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》

榊原家の内室はそれこそ雲か霞のように忽然と消えてしまったのだ。泉水が無断で屋敷を抜け出していることを知らぬ泰雅ではなかったが、見て見ぬふりをしていたのがかえって仇になった。
―あのお転婆姫にじっと屋敷にこもってろと言う方が土台無理というもの。
なぞと、泉水に甘すぎたのがかえって裏目に出た結果となった。これまでにも泉水が乳母時橋の眼を盗んで町に出ていたことは度々あったけれど、出たきりで帰ってこなかったなどということはない。
―あのお転婆姫にじっと屋敷にこもってろと言う方が土台無理というもの。
なぞと、泉水に甘すぎたのがかえって裏目に出た結果となった。これまでにも泉水が乳母時橋の眼を盗んで町に出ていたことは度々あったけれど、出たきりで帰ってこなかったなどということはない。

