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第10章 告白

『わかり会える』ってどんなことだろう？

赤の他人だった二人が恋をして、もっと相手のことが知りたくて、離れがたくていつも一緒のときを過ごす。

そうして月日を重ねていけば本当に『わかり会えた』と言えるのだろうか？

何もかもわかり合えていると思っていた聡志は三年前、忽然と姿を消した。
彼の身にいったい何が起こったのか、私には分からなかった。
いや、それだけじゃない。
彼が失踪してはじめて、私は彼についてあまりにもなにも知らなすぎたのだと知らされた。

彼の勤め先は知っていたけど、繋がりが深かった人も知らなかった。
彼の実家も朧気にしか知らなかった。
彼の交遊関係も知らない。
彼の前の彼女のことなんて、顔すら知らない。

私は聡志の表面だけを見て、すべて知ってると錯覚していたにすぎなかったのかもしれない。