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第6章 Scene.05

　
　軽快に上がっていく少年の小さな背中。

　まるでウサギのように飛び跳ねながら上がる。

「…若いなぁ」

「お姉ちゃんだって若いよっ」

「はいはい、ありがと」

　上の段から見下ろしながら笑顔を向ける少年。

　カツンカツンと足音を響かせながら上がるアタシ。

「…あれ？」

　何気に違和感。

「頑張ってぇ」

　ぴょんぴょん跳ねながら上がる少年。

　いくらスニーカーとは言え、足音くらいしても良いはず。

　それが聞こえない。

「それに………」

　一つ違和感を感じると、更に違和感が湧いてくる。

　三階建ての雑居ビルのはず。

　それなのに、既に何周かしてる。

　感覚的に四階は上がっていた。

　周りに目を向けると、景色は二階程度の高さ。

　踊り場に立って見下ろせば、通りを歩く人の頭が真下。

「えっと…」

　見上げれば、ビルに入る扉と更に上へと続く階段。

　それだって、三階までしか無い事を目視できた。

「ほら、お姉ちゃぁん、頑張ってぇっ」