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第9章 絡まる糸

雄二さんと約束の週末を迎える。

いつもよりハッキリとひいたアイライン。
普段はあまり使わない濃いめの口紅。
艶のある髪には念入りにブローした。
シャンパンゴールドのシフォントップスに黒いパンツスーツ。
鏡に映る自分は、いつもより大人に見えた。

どんな容姿をしようと、私という人間は変わりようがないというのに…

待ち合わせの場所に、居る少し短めの髪を秋風に揺らす男。

きっと、何時もこうやって早くに来て女性のことはま待たせないのだろう。

少し近づいた所で、雄二は有紗に気がついた。

目があったことを確認すると、有紗は柔らかく微笑んで胸元で控えめに手を振った。

「すみません、またお待たせしちゃいましたね」

いつもの優しい笑顔で、全然と軽く挨拶をすませて雄二が予約してくれた店へと二人は脚を運んだ。