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第13章 おでんデート
「性格が合わなかったのと、俺に気になる人が出来たから」

リョウがまた顔を覗き込んでくる。

「だから、俺も今彼女はいない」

「...そう」

熱い視線に耐えきれず、少し目線を外す。

「他には?」

「え」

「もうおしまい?」

一番気になっていることを聞こうか迷ってしまう。
聞いてどうするの?でも聞かずにはいられないー。

「...なんで?」

「ん?」

「その、大学とか、バイト先とか、若くて可愛い子がいっぱいいるでしょ。なんで、その...私、なの」

最後が今にも消え入りそうな声で稜が聞く。

「うーーん。なんでだろ」

冗談とかからかう気持ちで答えているつもりではなく、本気でわからないといった口ぶりだ。

「でもね。高崎さんがすごく気になるんだ。夜中におでん買いに行っちゃった時もそうだし、彼氏の車から降りてきた時とか、コンパの人に送られてるのを見かけた時、超ここがしめつけられて、悲しくなる。無性に腹が立って、いてもたってもいられないってやつ?」

胸の辺りを抑えて、本当に苦しそうだ。

「んで、高崎さんと話してると、めちゃ嬉しいし。高崎さんが俺と話してて笑ってると、めっちゃぎゅーってしたくなる...。それが理由」

空いている手で、稜の頭を撫でる。

「それじゃダメ?」

稜は勢い良く首を横に振る。

リョウからの想いが、苦しいぐらい伝わってくる。

リョウの本気が。


何をどう返せばいいのだろう。

私もリョウが好き。

だけどー。


「でさ。高崎さんはさ、俺の事、近所のガキぐらいにしか思ってないだろうけど。俺は、俺を男として見て欲しいし、あわよくば?好きになって欲しいんだ」

リョウが立ち上がってつないだ手を離し、稜の乗ってるブランコをゆっくり両手で押す。

「だから、俺にもチャンスを頂戴?」

「チャンス?」

「そう。...週に1回、こんなカンジでいいからデートして欲しい。ずっとじゃなくていい。1ヶ月。1ヶ月経って、それでもダメなら諦めるよ」

夢や妄想の中ではないのだろうか。
本当に現実に起きている事とは信じられない。

あまりの出来事に、リョウがどうこうというより、稜がついていけてない。

頭が混乱して、クラクラする。

気がつくと、心配したリョウが片膝をつくように、稜の顔を覗き込んでいた。
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