この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第16章 萎凋
雅美は少年の身体に掴まり、頬を擦り付ける。
時々の上り坂で腹に力を入れる少年に、自分を運んでくれる男の力強さを感じる。
カラカラと進む二人を乗せた自転車は、夕暮れの下町に溶け込んでいった。
公園には誰もいなかった。
二人乗りの自転車は、長い陰を伸ばし始めていた。
藤棚の下で、弁当を広げる少年の顔がほころび、雅美の前で素直に喜びを見せる。
『なぁ食っていいか?』
『どうぞ、食べて。』
『いただきます!』
ガツガツと弁当を頬張る少年を、雅美は嬉しそうに眺めた。
野性味ある少年の食べっぷりに雅美は見惚れていた。
食べながら少年は雅美を心配した。
『いいのか・・・いつも・・・こんなこと・・。』
『なにが?』
『だってさ・・雅美んちの米、俺が食ってんだぜ。
・・・ウチの人怒ってねぇのか?』
『どうだろ、わかんない。しかられちゃうかも。』
『・・・だよなぁ。』
『でもいいよ。出来なくなるまで、してあげる。』
『そう?助かる。・・・でもいいよな、飯あってさ。』
『普通だよ。ははは、それって普通じゃない?』
『俺んちは変わってるからさ。親父バカだし。』
肉親をなじる言葉遣いに、雅美は表情を曇らせる。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


