この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
片想いの行方
第55章 変わらない2人
「………っ 蓮くん………」
私がその体から離れようとしたので、蓮くんは手の力を緩めた。
心臓がバクバクと音を立てる。
1歩、蓮くんから離れて目線を上げると
「……………!」
蓮くんは、とても切ない顔で私を見つめてきた。
「…………っ」
どうして………
どうしてあの時と同じ表情をするの?
あなたを追いかけて、あなたを図書室から見続けて
あのプールの中で、最初にキスをしたのは私からだった。
……こんな風に見つめられたら……
「………美和………」
名前を呼ばれるだけで、胸が張り裂けそうになる。
こんなに長い間離れていたのに
私………
「………俺………」
白い息が宙に舞って、再び蓮くんが口を開こうとしたけど
その視線が私を通り越す。
「……………?」
振り返ると
時計台の方向から、ゆっくりと近付いてくる彼の姿が見えた。
「………ヒメ………」
私の隣りに彼が立つと
最初に口を開いたのは、蓮くんだった。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


