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吼える月
第10章 脆弱

「では、我らはこれで。姫は……汝の妻が、見つけ出すだろう」
「貴方は……」
「汝なら、もうおわかりのはず。だが他言無用にて。我らは元来、外に出てはいけない人種。このお嬢様のお忍びの命に従っただけのこと」
"この"が強調された先――。
「……ええと、お嬢様……?」
ハンの視線を向けられた幼女は、
「きゃはははははは。そうなの~、お嬢様なの~」
実に無邪気な笑いを響かせた。
「お嬢様、参りましょう」
「うん、参る参る。あ、それから……」
そして幼女は、しっかりと……今まで隠れていたサクを見つめて言った。
「また会おうね~、今度は遊んでね、サクちゃん?」
そして謎のふたりを乗せた馬が見えなくなって少し経った後、サラの声が聞こえた。
「ハン――っ!! サク――っ!!」
サラが背負っていたのは、少女。
「草むらに横たわって眠っていたの。
ようやく……見つけたっ!!」
それは――ぐったりとしたユウナだった。

