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喘ぐなら、彼の腕の中で
第6章 ベストを尽くせ
「綾瀬!」
自分のデスクに戻ると
斜め前の席の先輩が、私を見て受話器を置いた。
「青山店の最終チェックに行くんだよな?」
「はい、あと30分くらいで出ようかと」
南青山に構えるインテリアショップが、今夜プレオープンする。
系列のカフェと併設した路面店で
軽食などを楽しんでもらう、関係者へのお披露目会だ。
私は内装や照明の確認だけだから、オープン2時間前にでも行けばいいんだけど。
「……今、芹澤から電話があって」
先輩が顔色が曇った。
「ショーウィンドウ用の、メインの什器が店に届いていないって」
……えっ?
椅子に座ろうとした体がピタッと止まる。
什器が、ない?
「綾瀬じゃない、先方のミス。
届け先が別の販売店だと勘違いしたらしい」
「……!!」
「今、既に間違えた場所に誤納品しちまってるって…」
「場所はどこですか!?」
「……名古屋だって」
な、名古屋!!
よりによって……!

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