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その、透明な鎖を
第3章 いいこと
――そうだ。
考えてみれば、当たり前だった。
理性が飛んでしまっていてそこまで考えられなかったけど。
拒絶されたことだけで頭がいっぱいだったけど。
言われてみれば、確かに。
「ごめ、ん」
ぽつり、と。悠斗は呟いて。
ふふ、と凛がまた笑った。
肩口に伝わる振動でそれが分かって。
――好きだ。
悠斗は、本当に突然、そう思って。
やっぱり好きだと。
自分は凛のことが好きなんだと。
曖昧にではなく、本当に自覚した。
「……凛」
「ん?」
「俺、今日バイトなくて。
だから、時間……けっこうあるんだけど」
「――え?」
凛が、顔を上げて。
悠斗を、見つめて。
「あんなことになった後だし、ちゃんとゆっくり話したいと思って、バイト仲間に代わってもらったんだ」
少し気恥ずかしさを感じながら、彼女に伝える。
でも。自分の気持ちとか。
そういうものを、ちゃんと伝えたいと彼は思って――――。

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