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その、透明な鎖を
第1章 そこにいたのは
翌日、悠斗は学校が終わるとすぐにあの場所へと急いだ。
バイトがあるときだけ通る道。
川沿いの、その道。
彼女がいるはずの、その場所。
「……凛」
――いた。
今日は気温がそんなに高くないせいか、川の中には入ってないけれど。
でも、この前と同じ制服姿で、そこに。
近付くと、彼女はすぐに彼に気づいて。
「悠斗」
そう言って、あの笑顔を彼に向ける。
「早いね」
「……そう?」
悠斗はわざと普通を装いながら答える。
でも、彼の心の中は本当は普通じゃなくて。
おとといのことは夢じゃなかった
彼女は本当に待っていてくれた
そんな思いが渦巻いている。
そして彼女に会えて、確かに嬉しいと感じている自分もいる。
――なんだ、これ。
まだ会って二度目。
しかも、交わした言葉なんて本当に少しで。
それなのに――――。

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