この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック
ーー・・後半40分。
アディショナルタイムは多分10分程度かな?
両者、得点は変わらない。
このままいけばPK戦だ。
サポーターはどちらを望んでいるのだろう?
ブエノスは昨年優勝を逃したー・・
アーセは二年連続優勝を目指しているー・・、
最優秀賞は、優勝を逃した柳沢・・。
それほどまでにすごかったのか?
普通なら優勝チームから選出しそうなのに。
そんな事を考えながら、ミュラーと同じ目線で、コートを眺める。
大きな時計は43分経過を示していた。
アディショナルタイムの分数によって、どうなるか変わると思う。
"なんと、再び!光にボールが回りました!!"
威勢の良い解説者の声ー・・。
"おーっと、異例です。ストライカーのハンソンまでもが守備に徹しています。"
「ふぅ~!!!」
「あぁっ!アンビリーバボー!」
と口々に観客が叫んでいるのはー・・光とハンソンがお互いに削りあってるからだ。
そりゃそうか。
普段なら関わる事のない二人。
ストライカーだもん。相手を削りに行く必要はない。
だけど・・ハンソンが疲れてるはずなのに
守備軍より動いて柳沢を削ろうとするのはー・・
猛烈なライバル意識があるから?
それともー・・私絡み?
【ピピピーーーッ!!!!】
主審の笛が鳴り響く。
"おーっと、ハンソンが!ファールをとられました!"
"光の服を掴んだ・・んですかね?"
"主審に抗議をしていますが、変わりそうにないですね"
大きく手をあげて、審判にアピールをしているけれど
判定が変わることはないらしい。
ポーカーフェイスのハンソンでさえ
顔には怒りがにじんでいた。
でも、イエローじゃなくて良かったー・・。
ゴールから少し離れてる場所からのスタート。
狙おうと思ったら、狙えるかもしれない。
でもよほどのコントロール力が無いとー・・
ブエノスにとっては時間的に
最初で最後の大きなチャンスだー・・、
アディショナル4分経過。
残り3分。
ハンソンをはじめとしたアーセのメンバーは
それぞれの守備に徹する。
主審が笛をもう一度吹いたときーー・・
4番のユニフォームを着た柳沢は
相手にパスをする振りをしてー・・
一気にミドルシュートを放つ。
もう二回目になる。ネットが大きく揺れるのを見るのはー・・。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


