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Deep Emotion
第6章 友達
千佳ちゃんは年上だけど、施設で一番仲良しだった友達で、お互いに施設を出た後でもメールをしたり、こうして時々会ったりする。

今は病院で働いていて、毎日忙しいらしく、会うのは半年ぶりだった。

私たちは駅を出て数分の、チェーン居酒屋の個室に入った。

食べるものをいくつか選び、豊富なアルコール類のメニューから私はピーチミルクのカクテルを、千佳ちゃんは生ビールを注文した。

「あ、また自分だけ可愛いの頼んでる」

じと、と千佳ちゃんが睨む。

成人式のお祝いで初めて飲みに連れて行ってもらった時も、私はカシスオレンジを頼んで同じことを千佳ちゃんに言われた。

「こーゆーのしか飲めないの。ビールって苦いし…」

「あの喉ごしの良さが解らないなんて、お子様ー」

程なくピーチミルクと生ビール、枝豆や手羽先、鶏の唐揚げが運ばれ、私達は乾杯した。

「で、最近どうなの。メールで清掃バイトの他に家政婦始めたって書いてあったけど」

唐揚げを頬張りながら千佳ちゃんが訊く。私はここ最近の話をした。

清掃仕事のこと、住み込みでハウスキーパーをすることになった経緯、そして、数日前の門倉さんたちとの事を。

「ふーん、つまりキスされた数時間後に、その人の弟と…、ヤっちゃったんだ?」

「…どう思う」

もそもそと、私は手羽先をかじる。甘辛いタレが絡んでいて美味しい。

「えー、別にいいんじゃないかな?むしろそのキスだけの男ともシちゃったら?」

「…な」

なんか、すごいこと言ってるけど。

私の表情を見た千佳ちゃんが、くつくつと笑う。

「まあそれは冗談。澪が二股なんて不誠実なこと出来ないの知ってるし」

ごっ、ごっ、と喉を鳴らしながら千佳ちゃんはビールを飲みきった。
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