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白雪姫にくちづけを
第22章 翔平×浩巳×カズヤ
『女の子…助かって良かったですね。』
『あぁ…でも、海は嫌いになったかも知れないね。』
『……資格…』
『ん…?』
『ライフセーバーの資格、どうして取ろうと思ったんですか…?』
浩巳と目を合わせた翔平は、
一口、ビールを煽ってから話出した。
『……おれ、サーフィン好きなんだけど。
友達が昔、溺れたんだ。一緒にサーフィンしてたら、天候が悪化して…』
『!すみません、話さなくていいです。』
『いや大丈夫、彼は無事だよ。助けてくれた人がいたからね。』
翔平は浩巳に柔らかい視線を送る。
『だけどそれから…おれは海が怖くなったんだ。』
『翔平ー!花火一緒にやろーよー!』
遠くから叫ぶ梨々子に、翔平は手を挙げて応える。
『人の為というよりは、自分が海に入る自信をつけたかったってのが、正直な理由かな。』
『…それでも、女の子を救った。』
浩巳は手元のコーラを見つめながら呟く。
『例えどんな理由でも…自分を磨いて、それを活かして誰かの役に立つことは、すごいです。
……おれにはそんな力、ありません。』
彼は己の無力を嘆くように痛切な声を発した。
そんな浩巳の横顔に、翔平は目を細める。
『…遠藤くんは、優しいんだね。
あとほら…カズヤくんも。』
翔平の視線の先には、
火を絶やさないよう、彼女達に次々と花火を手渡し、燃えカスをまとめるカズヤの姿がある。
『彼は一日ずっと、みんなが退屈しないように気を配ってたね。自然とああいう風にできる人は、すごいよ。
おれにも遠藤くんにも、できない役回りだろ?』
翔平の言葉に、浩巳は花火に照らされるカズヤを見た。

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