この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
一夜の愛、人との愛
第16章 気配
隣で糸の切れたマリオネットさながら、くたりと眠っている真理亜を一瞥し、ザレムは息を吐いた。

(馬鹿な女だ)

元の世界に帰れと言っているのに、無理矢理にでも残ろうとして。
眠るべきだと指示してやっているのに、抗って耐えようとする。
素直に言うことを聞けば波風も立たないのに、自分の言葉にだけ反抗してくる。

いくら他人を消滅させたくないからといって、みすみす戻る機会を手放すなんて、正気の沙汰じゃない。
だったら、さっさと目的を遂げて帰してやろうとしているのに、今度は余計なお喋りをしたがってくる。

人間というのは、こんなにも面倒で非効率な生き物だったのだろうか。
自分が守ろうとして、そして守るべきだと信じている生き物は。

うんざりした面持ちで、ザレムは視線を真理亜の顔に向ける。
地下で見た、甘く官能的な表情とは違う。
ただ生理的な欲求に飲み込まれるまま、深い眠りに落ちている顔だ。
安らかにも見えず、穏やかにも見えず、ただひたすら眠っているだけの変哲も無い顔は、あの時、濡れて火照った顔をした女と同じ人物には思えない。

肉体の要求には抗えない癖に、精神だけでも抗ってくる。
『不可思議で、我々天使とは相容れない生物だ』と、過去に書物で見た言葉を思い出す。
なるほど、言葉の通りかもしれない。

(それとも、この女が飛び抜けて厄介なのか…)

思い直してみるも、結局、どちらであっても状況は変わらない。

/226ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ