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一夜の愛、人との愛
第12章 穢れた天使は夢を見る
素足に纏う高級そうな布を揺らしながら、真理亜が、静かにザレムから1メートルほどの岩場に腰を降ろした。
その、眩暈がするような女の匂いに、ザレムが瞳を閉じて俯く。
このままでは駄目だと分かっているのに、見張りを呼ぶことも出来ない。
「ごめんなさい」
真理亜の声が熱っぽく響き、ザレムは動かずに表情だけを、きつくする。
「一晩だけ、ここに、いさせて」
この女は、気付いていないのか。
紡がれる言葉が湿り気を帯びて、身体に篭った熱を滲ませていることを。
お前の身体を火照らせている、この場所に、ヒトの身体を癒やすための空気など無いのだということを。
真理亜は岩場に腰掛けて、膝を抱いて目を閉じている。
闇の中で微かに光を反射する寝間着のような上下が、彼女の呼吸に合わせて、時折、ゆったり揺れてみえる。
ザレムは目を閉じたまま、唇を噛み締めている。
それぞれの緊張感を包むように、地下から見えない空の色に、今、黒がゆっくりと潜り込んで来る。
その、眩暈がするような女の匂いに、ザレムが瞳を閉じて俯く。
このままでは駄目だと分かっているのに、見張りを呼ぶことも出来ない。
「ごめんなさい」
真理亜の声が熱っぽく響き、ザレムは動かずに表情だけを、きつくする。
「一晩だけ、ここに、いさせて」
この女は、気付いていないのか。
紡がれる言葉が湿り気を帯びて、身体に篭った熱を滲ませていることを。
お前の身体を火照らせている、この場所に、ヒトの身体を癒やすための空気など無いのだということを。
真理亜は岩場に腰掛けて、膝を抱いて目を閉じている。
闇の中で微かに光を反射する寝間着のような上下が、彼女の呼吸に合わせて、時折、ゆったり揺れてみえる。
ザレムは目を閉じたまま、唇を噛み締めている。
それぞれの緊張感を包むように、地下から見えない空の色に、今、黒がゆっくりと潜り込んで来る。

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