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宵闇
第13章 衝動

車が、コンビニの駐車場に入り、停まる。
「ちょっと買い物してくるけど、琴音は何か欲しいものある?」
葉月くんが、そう言いながらそっと手をひいた。
なくなってしまったぬくもりを寂しく感じながら、首を横に振る。
「すぐ戻るから」
「ん……」
「……逃げちゃだめだよ?」
くすっと笑ってそんなふうに言ってくる葉月くんに、また胸が高鳴る。
私の頭を優しく撫でて、葉月くんは車を降り店へと入っていった。
数分後、戻ってきて。
「ごめんね」
そう言って再び車を発進させ、またすぐに左手を私にくれた。
その指に自分の指を絡ませる。
もう離したくなかった。
両手で、しっかりと握った。
そんな私に、葉月くんが溜め息交じりに呟く。
「……可愛いなあ、ほんと」
それにまた、きゅんとした。
……早く。
早く家でふたりきりになりたい。
私は目を閉じて、そのときを待った。

