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宵闇
第4章 琴音

家に着くと、私の足は自然に葉月くんの部屋へと向かう。
ノックのあと、すぐに中から聞こえてきた返事。
ドアを開けると、椅子に座っていた葉月くんがそれごと振り向くところだった。
「どうしたの?」
声をかけられ、ドアを後ろ手に閉めて葉月くんを見る。
「さっき告られたんでしょ?」
葉月くんは何でもお見通しだ。
うん、と私は溜め息をつく。
「ああもうどうしよう……」
「琴音ちゃんはもてるからね」
「え!? もてないよ、こんなこと初めてだもん!」
彼氏とか、つきあうとか、他人事だとばっかり思ってた。
そういうこととはずっと無縁だったから、なんだか現実味がわかない。
「もててるよ。僕の友達もみんな、琴音ちゃんのことかわいいって言ってるから」
「え~。うっそだあ……」
「大事な妹だから手を出しちゃだめ、ってまわりに言ってるからね。琴音ちゃんが知らないだけ」
ふっ、と笑うその表情に
「うそうそ、ぜったいうそ!」
そんなわけない、と否定する。
だって私なんてごくごくふつうの女の子だ。
そんなすごい話が自分に……なんてあるわけないもん!

