この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章
その後、2階の私室に上がったヴィヴィは、不在時に届けられた手紙や書類に目を通し。
大量に贈られてきたクリスマスカード・お歳暮のリスト等も、確認していたのだが、
「あ゛……しくじった……」
リストを手にしていた主が上げた、バツの悪そうな呟きに、
「どうされました?」
荷物を片してくれていた朝比奈が腰を上げ、ひょいと横からリストを覗き込む。
「うん……。瞳子さん、妊娠中なのに……、お歳暮にお酒 贈っちゃったねぇ」
「え……? それは存じ上げませんでした。申し訳ありません」
中元や歳暮を贈る相手は多い為、その選別は執事に丸投げで。
己の不手際をすぐに謝罪する朝比奈を、ヴィヴィは柔らかい声で宥めた。
「ううん。皆が知ったのも、クリスマスだったもの。知らなくて当然だよ」
他にも気になる相手に対する注意書きを、リストに書き添えていく主に、
「お任せ頂ければ、代わりの物をお贈りしておきます」
そう申し出た朝比奈に、ヴィヴィは微笑みながら全ての書類を預けた。
「うん、お願い。ごめんね? 手間取らせてしまって」
「滅相もございません」
いつも勉強しているデスクの傍。
受け取った書類を ぱらぱらと確認する執事の横、
ヴィヴィは ここ数日 貯めてしまっていたメッセージに、スマホで返信していたのだが。
案の定、その差出人リストの中には、今は目にもしたくない男の名がパラパラと見受けられた。
「………………」
細い指で液晶を辿り、連絡先リストから実兄の名を選び出し、タップする。
その動作には一切の迷いは無く、見下ろす瞳もいつもと変わりない。
『着信拒否設定リストに登録した人からの電話、
メッセージ、Face Timeは今後 着信しません。
よろしいですか?』
そんな注意書きを確認し、瞬時に押した登録ボタン。
(もっと早くに、こうすれば良かったんだ……)

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


